それでは,一般目標と行動目標の具体的な内容を「作業療法臨床実習の手引き 第4版」からピックアップしてみます.それは以下のような内容になります.いろいろな養成校の成績評価も作業療法臨床実習の手引き 第4版」を参考にされていることが多いでしょう.いかに列挙しますが,次回からをその中から項目を順番に取り上げ少しずつ考えていきます.もちろん作業療法士ための実習という視点からです.
1. 職業人としての態度・適正
【一般目標1:常識的態度や責任のある行動を身につける。】
◇◇行動目標:
・・・1-1 時間や約束を守る。
・・・1-2 その場にふさわしい服装や身なりを整える。
・・・1-3 礼儀正しい行動をとる。
・・・1-4 公私を区別する。
・・・1-5 守秘義務を果たす。
【一般目標2:対象者および家族と望ましい人間関係を持つ。】
◇◇行動目標:
・・・2-1 対象者および家族の訴えを聞く。
・・・2-2 対象者および家族の訴えを説明する。
・・・2-3 対象者および家族の訴えに応える。
【一般目標3:必要に応じて関連職種と連携をとる。】
◇◇行動目標:
・・・3-1 職員、関係スタッフの役割を説明する。
・・・3-2 関連職種の中での作業療法士の役割を説明する。
・・・3-3 関連職種と情報交換を行う。
【一般目標4:意欲的に取り組む姿勢(探究心・創造性)を持つ。】
◇◇行動目標:
・・・4-1 疑問点を列挙する。
・・・4-2 必要に応じて文献や資料を収集する。
・・・4-3 集めた文献や資料を理解する。
・・・4-4 必要に応じて質問する。
・・・4-5 自分の意見を述べる。
2. 評価
【一般目標5:評価計画を立てる。】
◇◇行動目標:
・・・5-1 評価内容を想起する。
・・・5-2 評価手段を選択する。
・・・5-3 選択した評価手段(情報収集・面接・観察・検査測定)の実施計画を立てる。】
・・・5-4 評価手順と期間について計画を立てる。
【一般目標6:評価を実施する。】
◇◇行動目標:
・・・6-1 必要な機器や道具等を事前に準備する。
・・・6-2 適切なオリエンテーションを実施する。
・・・6-3 選択した評価内容(情報収集・面接・観察・検査測定)を実施する。
【一般目標7:評価結果から全体像をまとめる。】
◇◇行動目標:
・・・7-1 「心身機能と身体構造」について列挙する。
・・・7-2 「活動と参加」について列挙する。
・・・7-3 「環境因子と個人因子」について列挙する。
・・・7-4 「生活機能と障害」との相互関係をまとめる。
【一般目標8:将来像を予測する。】
◇◇行動目標:
・・・8-1 将来の生活に影響する環境因子と個人因子を説明する。
・・・8-2 リハビリテーションゴールを説明する。
【一般目標9:作業療法の対象となる生活機能と障害について焦点化する。】
◇◇行動目標:
・・・9-1 「肯定的側面と否定的側面」を抽出する。
・・・9-2 抽出した各側面に優先順位をつける。
3. 作業療法計画
【一般目標10:長期目標および短期目標を設定する。】
◇◇行動目標:
・・・10-1 リハビリテーションゴールに沿った作業療法目標(長期目標・短期目標)を設定する。
・・・10-2 長期目標と短期目標を関連づけて設定する。
・・・10-3 対象者及び家族と目標を共有する。
【一般目標11:治療・指導・援助を計画する。】
◇◇行動目標:
・・・11-1 優先順位を設定する。
・・・11-2 リスクを説明する。
・・・11-3 目標に沿って期間を設定する。
・・・11-4 他部門と連絡調整をすることができる。
4. 作業療法実施
【一般目標12:準備する。】
◇◇行動目標:
・・・12-1 他部門や対象者および家族との連絡調整(時間・場所・人)をする。
・・・12-2 連絡調整した内容に沿って環境を整える。
【一般目標13:治療・指導・援助について説明し、了承を得る。】
◇◇行動目標:
・・・13-1 作業療法目標について説明し、了承を得る。
・・・13-2 計画について説明し、了承を得る。
・・・13-3 目的について説明し、了承を得る。
【一般目標14:計画に沿った治療・指導・援助を実施する。】
◇◇行動目標:
・・・14-1 時間内に実施する。
・・・14-2 対象者の反応から実施内容の適否を判断する。
・・・14-3 安全性を確保する。
・・・14-4 要点(ポイント)を押さえて実施する。
【一般目標15:実施中の対象者の状況変化に対応する。】
◇◇行動目標:
・・・15-1 状況変化に気づく。
・・・15-2 状況変化に応じて実施内容を変更する。
5. 再評価
【一般目標16:再評価計画を立てる。】
◇◇行動目標:
・・・16-1 再評価の必要性について説明する。
・・・16-2 再評価手段を選択する。
【一般目標17:再評価を実施する。】
◇◇行動目標:
・・・17-1 再評価を実施する。
【一般目標18:再評価結果を整理し、対象者の全体像をまとめ直す。】
◇◇行動目標:
・・・18-1 全体像の変化を説明する。
・・・18-2 実施内容の成果を説明する。
【一般目標19:再評価によって作業療法計画を見直す。】
◇◇行動目標:
・・・19-1 再評価の結果により、必要があれば計画を修正する。
6. 記録・報告
【一般目標20:記録すべき必要な事項を選択し、記録する。】
◇◇行動目標:
・・・20-1 記録すべき必要な事項を選択する。
・・・20-2 選択した必要な事項を記録する。
【一般目標21:報告すべき必要な事項を選択し、報告する。】
◇◇行動目標:
・・・21-1 報告すべき必要な事項を選択する。
・・・21-2 選択した必要な事項を報告する。
7. 管理・運営
【一般目標22:組織の概要を理解する。】
◇◇行動目標:
・・・22-1 地域における施設の役割について説明する。
・・・22-2 施設における作業療法士の役割について説明する。
・・・22-3 他職種と作業療法士との関係を説明する。
【一般目標23:作業療法の過程を理解する。】
◇◇行動目標:
・・・23-1 作業療法に関連する制度について説明する。
・・・23-2 指示、記録、診療報酬請求などについて説明する。
【一般目標24:管理業務の概要を理解する。】
◇◇行動目標:
・・・24-1 備品、カルテ、書類など必要な管理義務を説明する。
【文献】社団法人日本作業療法士協会養成教育部:臨床実習総論.作業療法臨床実習の手引き 第4版: 社団法人日本作業療法士協会,2010.
http://www.jaot.or.jp/wp-content/uploads/2012/08/rinshoujisshuVer.422203251.pdf